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この話は「きのうのできごと。」 (1)、(2)続きです。 読んでない方は↓こちらをどうぞ。 ☆「きのうのできごと。(1)」 ☆「きのうのできごと。(2)」 ********************************************************* 3両目と続く扉は先ほどは違い、勢いよくガチャンッと開いた。 そこから出てきたのは、グレーの制服に身を包んだJRの乗務員だった。 車両内を歩く乗務員。 常磐線ではたまに見受けられる。 地方の電車独特のシステムなのだろうか・・・。 乗り越しをする人のために、切符の販売をしてくれるのだ。 でも、まぁ、決して彼らが車内を歩く役割はそれだけと限ったことではないだろうと思うけど。 詳しくは知らないです。 とりあえずは、その場に偶然見回りの乗務員が現れたのである。 (たすかったぁ。) そう思ったのは私である。 きっと、老婆は乗務員に話しかけ、助けを求め、そして乗務員は助けるだろう。 っと、頭の中に何かが駆け抜ける一瞬の速さで、なんだか勝手に自分の都合の良いように、私は推測した。 でも、たぶんそれは私だけの気持ちや推測ではなかったのだろう。 案の定、老婆は入ってきたばかりの乗務員に困った顔つきで声をかける。 「あのぉ・・・トイレはまだ先ですかぁ~??」 乗務員は老婆の声に気づき足を止める。 『はい、もう1両先ですね~。』 そう答えたJRの制服をきちっと着た彼の見た目は若く、 一人前というにはまだまだと言った感じに見受けられた。 「トイレに行きたくて・・・。あっちの方からここまで来たんですけどねぇ・・・。ずっと無くて・・もっと先なんですか。遠いですねぇ・・・。もう1両先ですかぁ。」 老婆は続けて、疲労を見せながら話しかけた。 彼女が話しかけている間、私はほっと安心した気持ちになっていた。 なぜなら彼女は率直には言わないが、その言葉には十分助けを求めてることが読み取れると思ったからである。 (JRの就職試験に受かった人間が来た~。 しかも、車内の見回りなんて暇そうだし。どうせ、行って戻るだけの仕事。 気を利かせ、彼女の手を引きトイレまで誘導してくれるんだろなぁ。) そう、思いながら2人の会話を見守っていた。 (よかった、よかった。) そう思った次の瞬間だった。 『はい・・。すいません。』 と、答えながら彼は老婆にヘコヘコと頭を下げたのである。 なんと、彼までもが戸惑い、どうしようっといった感じに陥ったのである。 私は、驚いた。 (えっ!???) また、その次の瞬間だった。 予想だにしなかったことが起こった。 なんと彼は老婆をそのままにし、ただ歩くだけの業務に戻ったのである。 (おいおいおいおいっ!!???お~~~~いっ。) 彼は揺れ動く電車の中をトロトロと再び歩き始め、 時たまその揺れに耐え切れなくなりよろけながら、1両目と向かっていってしまった。 (・・・・・。てめぇ~。このやろう。おばぁちゃんの助けの声が聞こえなったのかよ!? 気がきかなすぎ!臨機応変がきかなすぎ!!サービス精神なさすぎ!!) 私のイライラは募る。 (どうすんだよ!おばぁちゃん・・・。お前がよろけながら歩くところ1人で歩かせる気かよぉ! ・・・・・あぁ~。ん~・・・・。あぁ~・・・・。それよりどうする。どうする!???) 私の気持ちは焦る。 私と老婆は再び、困り果てたのであった。 つづく。
by inoko_k
| 2004-10-29 01:08
| きのうのできごと。
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