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この話はきのうのできごと。(1)続きです。 読んでない方は↓こちらをどうぞ。 ☆「きのうのできごと。(1)」 ********************************************************* ガタンガタンと揺れる電車の中、重たい扉を開けて出てきた老婆。 彼女は小柄で腰は90度近く曲がっていた。 どちかというとかわいらしい感じである。 「おばぁちゃん」っと言った言葉が良く似合う。 スピードものり始め激しく揺れる電車の中、彼女は両腕をめいいっぱいに伸ばし、 壁に手をついて、自分の衰えた身体を一生懸命支えていた。 そして私と目が合うと、笑顔でこう言った。 「はぁ~…。トイレはまだ先ですかぁ。あらあら。」 『そうですねぇ。あともう一両先ですね。』 と、つられて私も笑顔で答える。 「トイレ行きたくて来たんですけど…まだ先ですかぁ。」 彼女は苦笑した。 『はい、そうですねぇ・・・。』 「はぁ…。」 彼女が私の顔をみて、苦笑いをするのも無理はない。 なぜなら、常磐線のトイレのある車両の場合、今私が座っている場所に位置するのである。 ドアを開け、「トイレだっ!」と思った場所に、今にも照りたまマヨロールを食わんとするわけの分からん、見たことのない女子(おなご)が座っているんだもの。 肩をがっくりと落とすのは当然と言えよう。 ため息をつくと、私の向かいの空いていた席へと彼女は座り込む。 老婆は動く電車の動きに耐えられなくなったのか、休憩をとっているかのように見える。 おそらくさっき私が乗った駅で、電車が停まっているすきにここまで歩いてきたのだろうと、私は推測した。 私はあたたかい生茶ホットを両手で握りながら、戸惑った。 (手を貸すべきか、どうなのか・・・どうしよう。 でも、次の駅で電車が停まったまた自分で行くかもしれないし…。) 1分も経たない時間がすごく長く感じた。 ふっと周りを見渡す。 近くに座っていた女性は何食わぬ顔で本を読み、 男子学生らしき人は下を見て、ぼ~っとしながら座っていた。 (助けるべきか、否か。次の駅まではまではまだまだ時間はあるよなぁ。んー・・・・。) 時間はあるといえども、駅と駅の間は5分間とそんなものであった。 ペットボトルをさっきより強く握り締める。 私は、視線を自分の隣の席へと送った。 そこには、私の鞄・クリアファイルケース・傘が席をゆうゆうと占領していた。 (助けるとしても荷物をどうしよう。) そう思った次の瞬間である。 迷う私と、困って座っている老婆の目の前の、3両目と続くドアがガチャンッと、 またしても開いたのである。 つづく。
by inoko_k
| 2004-10-27 11:19
| きのうのできごと。
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