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この話は「きのうのできごと。」 (1)、(2)、(3)、(4)続きです。 読んでない方は↓こちらをどうぞ。 ☆「きのうのできごと。(1)」 ☆「きのうのできごと。(2)」 ☆「きのうのできごと。(3)」 ☆「きのうのできごと。(4)」 2両目へ戻り、自分の荷物がもとの場所にしっかりとあることを確認し、ほっとする。 いとこの前を通り過ぎ、自分の荷物へと足早に駈け寄る。 私は座ることなく、鞄・クリアケース・ビニール傘を手に取る。 そしてまた足早に1両目と向かった。 1両目と着いたとき、まだ老婆はトイレから出てきてはいなかった。 (間に合ったぁ・・・。) トイレの目の前の席に着き、一息入れた。 私が1両目へと戻ってきた理由はもちろんある。 どうしても、彼女が私の手をぎゅっと握ったあの感覚が忘れられなかった。 車両から次の車両へと渡るときの、彼女の慎重な行動が目に焼きついていた。 だから、〔4両目まで一緒に行こう〕と思い戻ってきたのである。 電車が再び走り始めたとき、彼女はトイレから出てきた。 『4両目まで一緒にいきますよ。』 「あらっ!待っててくれたんですか?すいませんね。」 そんなやり取りの中、私は再び彼女に手を差し出す。 彼女は手をしっかりと握ってきた。 私の右手には、自分の荷物でいっぱいだった。 彼女がもし、よろけたとき支えられるかは心配だったが、先ほどの足取りを考えれば大丈夫だろうと考えていた。 いざとなったら、投げだしゃいいと。 2両目・3両目と歩いていく。 今度こそ周りの目線が気になった。 3両目へと入るとそれはひどく感じた。 みんながジロジロと見ている。 ここ居る人たちは、彼女が1人で歩いてトイレへと向かっていく姿を見ていた人だ。 なんだか、私は複雑な気分になって、彼女の足下をずっと見ながら歩いた。 4両目に入ると車内の風景は一転する。 ボックス席の車両になっていた。 いったい彼女はどの席だろうか…。 「ここら辺だったかしらぁ…?」 彼女はそう言いつつも、揺れ動く電車の中を歩くのが精一杯で自分の席を探す余裕はあまり見受けられなかった。 4両目にもなると、乗客が多い。 しかもボックス席なので彼女が座っていた形跡を探すのは難しい。 とりあえず、彼女は何も荷物を持っていなかったので、それらしき荷物を探す。 しばらく歩いていくと、20代ぐらいのお姉系の2人組みと目が異様に合うのに気づいた。 彼女たちはボックス席の通路側に2人して座っていた。 そして、何より老婆を見て、〔あ~…。〕っといった顔つきをしていた。 彼女たちが座る奥を覗き込むと、窓側の席にクタクタの青いリュックがおいてあった。 〔これじゃねぇ~の。〕そう思い、老婆に問いかけた。 『ここですか??』 「あぁ!ここです。ここです。」 私は老婆に笑顔を見せた。 「すいませんねぇ。ありがとうございました。」 『いえいえ。』 彼女は何回か頭をさげ、自分の席へと戻っていった。 私は挨拶はそこそこに、なんだか恥ずかしいようなもどかしいような…そんな気分になり、 あまりその空間に長居はしたくなく、そそくさと自分の元居た2両目の席へともどっていった。 2両目と戻ると、いつも自分が座りたい、さっきまで座っていた席はまだ空いていた。 席に着くと同時に、電車はまた次の駅へと着いていた。 あと数秒戻って来るのが遅れた自分の席は取られていたと思うと、ちょっと焦った。 電車は再び動き出した。 私は生茶を鞄から取り出し、一息入れた後、 ニューデイズで買った照りたまマヨロールも取り出し、思いっきりかぶりついた。 いとこは相変わらず参考書を広げ、勉強しており、 手すり側に座っていた女性は読書を始めていた。 その女性の反対側に座っていた10代の男の子は相変わらずぼぉ~っとしてた。 おわり。
by inoko_k
| 2004-11-09 15:52
| きのうのできごと。
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